2008/07/05

2 レインカバー

今日も暑かった。気温は30度を超え湿度も80%以上。
まさに一年で最も不快な時期である。今夜も寝苦しいに違いない!
私の隣にはいつも体温38度を誇る愛人、いや愛犬(随分イメージが変わるなぁ)が添い寝してくれる。
正直この時期の添い寝は地獄である。しかもイビキがうるさい(これはオールシーズンだ)。
まさに梅雨真っ只中という感じだ。

この時期のバイオリン事情もまた厳しい。
音は悪い、膠は剥がれる、弓の毛は伸びる、新作のニスは溶ける、とまあ散々である。
ケースもほとんどが防水加工ではないので持ち運びには気をつかう。
そこでこの時期最も売れる商品はやはりVペット(除湿剤)とレインカバーである!らしい。
らしい?
岩崎工房ではこの手の商品があまり売れないので、まったく実感がないのである。
それでも年に数個は売れるので、少しは仕入れる。

しかしいつ見ても変わり映えしない、つまらないデザインである。
しかも写真撮影用に使った流行?のスーパーライトケースはパンパンである。
これもイマドキの流行なのか?なわけないか。

とにかく面白くも何ともないので、問屋に新製品はないのかと打診してみたところ、Gewaのレインカバーがあるとのこと。これは期待ができる!早速持ってきてもらった。

な、なんじゃこりゃ!
ランドセルのカバーか?交通安全とか書いてありそうだ。
せめて黒とかかわいい色とかいう発想はなっかのだろうか?(ある意味かわいい色ではあるが・・)
Gewaのロゴが何とも申し訳程度に付いている。
しかもカバーを被せるとケースを手に持つことすらできない。リュック専用となるのだ。
さらに流行?のスーパーライトは入らないときたもんだ。
がっかりである。

まあ我が工房にとっては、年に数個しか売れないから(自慢することではない)あまり影響はないのであるが・・
しかしそれにしてももっと洒落た物があってもよさそうだが。
また探してみて面白そうなものがあれば紹介していきたい。

おっとまた酷評を書いてしまった。
このブログは商品の悪口を言うために作ったのではない。
もっと前向きなことを書いていかねば!



2008/07/03

1 カーボン弓

わたしは以前からカーボン弓には批判的である。
今もあまり良くは思っていない。お客さんにも決して薦めたりはしない。
理由は後ほど書くとして、基本的にあまり好きではない。
ただし割り切った条件の下では、有効な手段だとも思っている。
それはセカンドボウとして特殊な条件で弓を酷使する際など。
例えばオーケストラで目いっぱいゴリゴリ弾くとか、コルレーニョでスティックを傷めるといった時、またはエレクトリック路線で攻めるには有効だと思う。
そんなわけで今回お客さんの要望もあり、セカンドボウということでカーボン弓を仕入れてみた(あれ、ポリシーは?)。
以前から時々メーカーの営業や知人の所有物を何本か試してみたことはあるので、どのような物かは理解しているのではあるが、実際に最近の進化を体感してみるのは面白い体験になったのではないかと思う。
感想はというと・・
うーん、以前に比べると随分良くなったかなというレベルである。
やはり割り切りセカンドボウからの脱却は課題なのか根本的に無理なのか??
もちろんコストパフォーマンスを考えると、駄作の木製弓より良いのかもしれない。しかしやはり駄作と比べると・・である。
駄作というのは安い弓というわけではない。同じ価格の弓でも材料は一本一本違うしバランスもそれぞれである。価格に関係なく酷い材料であったりバランスが極端に悪い物がある。それが駄作である。
因みに今回試してみたのは、Fiumebiancaというメーカーの¥18,000、¥36,000、¥72,000の3商品である。
¥72,000になると流石にしなやかになってくるのではあるが、やはり割り切りセカンドボウと感じてしまう。ならば¥18,000で十分ではないか!  それを言ったらおしまいである。

先日、Aucusという弓を知人が所有していたので弾かせていただいた。
この弓は非常に高価である。カーボン弓なのに・・・
実はこの弓、以前勤めていたお店で発売当初メーカーの社長直々に代理店にならないかと打診してきたことがある。
カーボン弓という発想が出てきたばかりで、少し興味もあったのではあるが、スティックがカチカチで音がガサガサでしかも軽すぎるという何とも厳しい状態の上、価格は当時新作のフレンチ工房弓が買えるほどの驚き価格であった。
暫くは代理店をしていたようだが、あまり売れなかった記憶がある。
先日弾かせていただいた進化形?は当初より微妙にしなやかになっていた感じである。音も良くなっていた。でもやはり軽すぎる。
軽い=悪とは決して思わないが、軽くて良い弓のバランス感覚ともまた違うものである。

どんどんカーボン弓の悪口になっていってしまう。いかんいかん

なぜここまで嫌うかというと、やはり最大の理由は音である。
実はエレキバイオリンやサイレントバイオリンも嫌いである。これもまた割り切りセカンド楽器だと思う。
弦楽器初心者の方でサイレントバイオリンとカーボン弓という組み合わせで練習を始める方が最近多いようである。警鐘を鳴らしたい。
楽器を演奏し、上達するために日々練習をするのであるが、最も訓練しなければいけない所はどこか?もちろん左手、右手など技術的な箇所は当たり前であるが、それより何より耳である。
良い音程、音色、表現方法など耳を働かせ、イメージし、そして音にする。
自分の出す音に敏感に反応し、どのようにすれば心地良い音になるか考えながら、右手左手を操っていくのである。
つまりサイレントバイオリンやカーボン弓では本来バイオリンの持つ何とも美しく暖かい音色を再現できないのである。音色は右手で創るのであるが、そのような状態で右手が成長するはずがない。
これは極めて危険なことである。
幼少期から化学調味料漬けになると本来の自然の味が分からなくなるのと同じである。
わたしが割り切りセカンドボウ(楽器)と言っているのは、もうすでに素晴らしい技術を持っている方は、そのあたりを把握した上で使うことができるということである。ゆるぎない耳と技術を持っているのである。

この先、いやもう既にではあるが、弓の材料であるペルナンブーコはどんどん減っていくであろう。
現在植林を進めて育てているそうであるが、絶滅危惧種になっており厳しい現状である。
とくに18~19世紀に採れた良質のペルナンブーコはもはやどこにもないしこれからも採れないと思う。 森林伐採で温暖化と言われている昨今、カーボン弓という新しい発想は非常に興味深いところであるのだが、どうしても自然の力には勝てないのかもしれない。
研究を重ねて木にも勝るようなカーボン弓ができたなら、もっとお客さんにも薦めていきたいと思う。
今後の期待も込めてカーボン弓批判でした。

2008/07/01

工房紹介


まずは私の工房を紹介することから始めましょう。
わたくしこと岩崎工房の店主の岩崎清夫と申します。
私の仕事は弦楽器(バイオリン、ビオラ、チェロなど)の修理、調整が主で、輸入販売、制作もしています。
場所は京王線明大前駅からすぐで、世田谷区松原という住所になります。
来店される際は、予約をしてください。しかし予約をしたら気軽に来てください。
予約をしていただくのは、敷居が高いのではなく私がいない可能性が非常に高いからです。
時間が空けばあちこち走り回っているもので・・・
こんないい加減な工房ですが、技術には自信を持って丁寧に対応させていただいています。
それは一度お試しください。

この業界の門を叩いて早いもので12年ほど経つでしょうか。
まだまだ分からないことだらけで研鑚を積まなければいけませんが、この奥の深い弦楽器の魅力、私が経験してきた業界内外の出来事など、みなさんと少しでも共振できるように、このブログを通して発信していきたい次第です。
岩崎工房HP http://www.h5.dion.ne.jp/~vn-iwa/

ブログ開設しました。

岩崎工房、岩崎です。

ちょっとブログなるものを書いてみる気になってしまいました。

たまに見てあげてください。